建物の外壁塗装の塗料について、太陽光、紫外線や雨など、気温についてのリスクを詳しく教えてください
2025.10.21 (Tue) 更新
戸建ての外壁塗装における塗料の劣化について、太陽光(紫外線・熱)、雨、気温が引き起こす具体的なリスクとメカニズムを詳しく解説します。
外壁塗料の塗膜が劣化する主な要因は、ご指摘の通り「光(紫外線)」、「熱(温度)」、「水(雨・湿気)」の3つです。
1. 太陽光・紫外線による塗料の劣化リスク
太陽光に含まれる**紫外線(UV)**は、塗膜の劣化における最大の原因であり、塗料の「寿命」を決定づける最も重要な要素です。
リスク | 現象 | メカニズム | 塗料への影響 |
チョーキング現象(白亜化) | 外壁の表面を触ると、チョークのような白い粉が手に付着する現象。 | 塗膜に含まれる合成樹脂(塗料の性能を支える骨格)が、紫外線によって分解・破壊されることで、内部の顔料(色材)が粉となって表面に露出します。 | 塗膜の保護機能が終了したサインです。防水性の低下や、ひび割れ(クラック)の発生リスクが高まります。 |
色あせ・ツヤの低下 | 塗装したときの色味が薄くなったり、光沢(ツヤ)が失われたりする現象。 | 紫外線によって塗料の顔料が分解されたり、樹脂が酸化したりすることで、色の結合が壊れます。特に日当たりの強い南面や、濃い色の部分から進行しやすいです。 | 美観の低下だけでなく、保護膜が薄くなっている証拠であり、塗り替え検討の目安になります。 |
ひび割れ(クラック) | 塗膜が弾力性を失い、乾燥・収縮することで細かいひび(ヘアクラック)が入る現象。 | 紫外線や熱で樹脂が劣化し、塗膜が硬く脆くなることで、外壁材の伸縮に追従できなくなり発生します。 | ひびから雨水が浸入し、建材の腐食や雨漏りの原因となります。 |
【塗料の対策】
耐候性の高い塗料の選択: フッ素塗料や無機塗料など、樹脂結合が強固で紫外線に強い塗料を選びます。
ラジカル制御型塗料: チョーキングの原因となる**ラジカル(活性酸素)**の発生を抑制する技術を持つ塗料(高耐久型シリコン塗料など)が開発されています。
2. 雨(水)による塗料の劣化リスク
雨水や空気中の湿気は、塗膜の耐久性を低下させ、建材内部へのダメージを引き起こします。
リスク | 現象 | メカニズム | 塗料への影響 |
塗膜の膨れ・剥がれ | 塗膜の一部が水ぶくれのように膨らんだり、下地から剥がれたりする現象。 | 塗膜の防水性が低下した箇所から雨水が侵入し、内部の湿気が熱で蒸発する際に、塗膜を内側から押し上げて密着力を失わせます。また、下地処理の不備(乾燥不足など)も原因となります。 | 防水機能が完全に失われ、再塗装が必要になります。 |
カビ・藻・コケの発生 | 北面や日当たりの悪い場所、湿気の多い場所で、塗膜の表面に緑色や黒色のカビ・藻が発生する。 | 塗料の成分や外壁表面の汚れを栄養源とし、湿度の高い環境で繁殖します。 | 美観を損なうだけでなく、塗膜を分解し、劣化を早める原因となります。 |
酸性雨による劣化 | 大気汚染物質(二酸化硫黄など)を含んだ酸性の雨が塗膜を侵食する。 | 塗料の成分と反応し、塗膜が化学変化を起こすことで、徐々に耐久性が損なわれていきます。 | 特に排気ガスが多い幹線道路沿いなどで注意が必要です。 |
【塗料の対策】
防水性の高い塗料の選択: 塗膜に柔軟性や弾性(微細なひび割れに追従する力)を持つ塗料を選び、水の侵入を防ぎます。
防カビ・防藻剤入りの塗料: 塗料自体に防カビ・防藻の成分が配合されているものを選びます。
3. 気温(熱・温度変化)による塗料の劣化リスク
日本の四季や昼夜の大きな温度変化は、建物と塗膜に常に負荷をかけ続けています。
リスク | 現象 | メカニズム | 塗料への影響 |
熱膨張・収縮 | 昼夜や夏冬の気温差により、外壁材(サイディングやモルタル)が膨張と収縮を繰り返し、塗膜に負荷がかかる。 | 塗膜が外壁材の伸縮に追従できなくなると、ひび割れ(クラック)やコーキング材の破断を引き起こします。 | 特に日が当たりやすく温度変化が大きい南面などで、塗膜の耐久性が試されます。 |
熱ぶくれ(熱膨れ) | 夏場の高温により、塗膜が軟化し、塗膜と下地の間の水分が蒸発・膨張することで塗膜がボコボコと膨らむ現象。 | 耐熱性の低い塗料を使用した場合や、施工時の乾燥不足、下地処理不足が原因で起こります。 | 塗膜の密着性が失われ、耐久性が著しく低下します。 |
施工時の品質低下 | 塗装作業時の気温・湿度条件が適切でない場合の品質リスク。 | 低温時(5℃以下):塗料の乾燥・硬化が遅れ、密着不良や乾燥不良(ひび割れ)の原因になる。 / 高温時:塗料表面が急激に乾燥し、内部まで十分に硬化しない「皮膜現象」が起こり、耐久性が低下する。 | 施工時期や天候管理が不適切な場合、塗料本来の性能が発揮できなくなります。 |
【塗料の対策】
遮熱塗料・断熱塗料の利用:
遮熱塗料: 太陽光の赤外線(熱源)を反射し、外壁材や塗膜自体の温度上昇を抑えます。これにより、熱膨張・収縮の負荷を軽減し、塗膜の劣化を遅らせる効果があります。
断熱塗料: 熱の伝わりを遅らせる効果があり、冬の保温性にも寄与します。
適切な施工管理: 塗料メーカーが定める**「塗装に適した温度・湿度」**を守り、乾燥時間を十分に確保することが、塗膜の性能を最大限に引き出すために不可欠です。
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